説教

2017年5月21日

主を知ること、永遠の命
大坪章美牧師


ヨハネによる福音書 17章1-3節





モーセは、紀元前1280年頃、エジプトを脱出してから40年もの長い間、男子だけで60万人と言われるイスラエルの民を率いて、約束の地カナンへ向かって行進しました。そして、申命記7章では、イスラエルの民がヨルダン川を渡って、先住民が住むカナンの地に侵入した後に取るべき行動が指示されています。

主なる神様は、カナンの地を占領したならば、イスラエルの民がまず為すべきことを、5節で命じておられます。すなわち、「あなたの為すべきことは、彼らの祭壇を倒し、石柱を砕き、アシェラの像を粉々にし、偶像を火で焼き払うことである」と、命じられました。

9節では、モーセが語っています。前の節で言われた言葉、「ただ、あなたたち、イスラエルの民に対する“主の愛”の故に、あなたたちの先祖に誓われた“誓い”を守られたが故に、主はあなたたちを導き出し、ファラオが支配する奴隷の家から、救い出されたのである」という言葉を受けて、「それ故、あなた達イスラエルの民は知らねばならない。あなたの神、主が神であり、信頼すべき神である事を」と、要求しています。

「主なる神様は、御自分を愛して、その戒めを守るものを祝福され、御自分を否む者には滅びを与えられる」と、宣言されているのです。即ち、人が、神様と、“愛の関係”にある時は、その人は、神様が契約を誠実に守られること事を、見出すでしょう。その反対に、人と神様との間に、憎しみの関係があって、人が主なる神様ヤハウェを無視したり、反抗する事があったら、“人間の側から、神との間の契約を履行しない罪”の故に裁きを味わうことになります。モーセは、イスラエルの民に、「主があなたの神であり、信頼すべき神である事を、知らねばならない」と、教えているのです。

そして、モーセの時代からおよそ、千四百年ほども後の、紀元90年の頃、ヨハネによる福音書を著わしたイエス・キリストの使徒ヨハネも、「イエス・キリストを知ることの大切さ」を、説いています。

17:1節は、訣別説教の後で、イエス様が、大祭司の祈りを捧げられるところです。イエス様の祈りの最初のお言葉は、「父よ、時が来ました」という呼びかけでした。そして続いて祈られた、イエス様の祈りは、「あなたの子が、あなたの栄光を現わすようになるために、子に栄光を、与えてください」という祈りでした。イエス様は、「ご自身が栄光をお受けになること」が、とりもなおさず、“父なる神の栄光が現れることなのだ”と、言われているのです。

そして、このことを、イエス様が自ら語ってくださいました。2節です。「あなたは、子に、すべての人を支配する権能をお与えになりました。そのために、子は、あなたから委ねられた人すべてに、永遠の命を与えることができるのです」と、言われました。そしてイエス様は、茲で「永遠の命とは何か」を、語られます。3節です、「永遠の命とは、唯一真の神であられるあなたと、あなたのお遣わしになったイエス・キリストを知る事です」と祈られました。茲には、「全てのものの造り主である全能の神は、その神がお遣わしになったメシアである、キリスト・イエスにおいてのみ知る事ができる」という真理が述べられています。

“永遠の命”とは、何かの目的や、対象となるような“もの”ではありません。それは、いわば、“状態”のことです。「唯一真の神である主と、遣わされたイエス・キリストを知る」あるいは、「認識する」状態が、そのまま、“永遠の命”なのです。それは、言い換えれば、やはり、“信仰”ということになります。ヨハネは、そのことを、繰り返し、語っています。3:36節には、「御子を信じる人は、永遠の命を得ている」という、洗礼者ヨハネの証しを記しています。

この、17:3節の、イエス様の祈りの中の、「永遠の命とは、唯一真の神であられるあなたと、あなたのお遣わしになったイエス・キリストを知ることです」というお言葉こそ、申命記7:9節でモーセが語った、「あなたは、知らねばならない。あなたの神、主が神であり、信頼すべき神であることを」という言葉を、語り直したものなのです。





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